平成30年度の税制改正について

国民健康保険の良くある質問

国民健康保険料がさらに高くなる!?平成30年度の税制改正について解説します。

更新日:2018年3月3日

平成30年4月から国民健康保険の運営主体が市町村から都道府県へ移管されます。国民健康保険に加入する私たちにはどのよな影響があるのでしょうか?

なぜ市町村から都道府県へ移管するのか?

国民健康保険は高齢者の加入割合が高いため医療費水準が高く、さらに低所得者が多いことから税収の確保が非常に難しい状況となっています。厚労省の発表では平成27年度は2843億円の赤字とされています。


財政圧迫の大きな要因は急速な少子高齢化にあることは明白ですが、その他にも運営母体が市町村単位であることも問題視されてきました。つまり運営規模が小さいが故に事務効率が悪すぎるのです。


そこで平成27年5月に「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」が成立し、平成30年4月から国民健康保険の運営主体を市町村から都道府県へ移管することに決定しました。


これにより運営規模が拡大し事務効率が向上することが期待できます。また都道府県が運営主体となることで、地域内の保険料および提供医療の標準化(地域格差を抑えること)が可能になると考えられます。



新たに導入される標準保険料率とは?

国民健康保険の料率を決定するとき、その市町村における医療費水準を考慮する必要があります。つまり医療費水準の大小が保険料率に直結するわけですが、ここに問題があり、医療費の抑制に前向きな市町村とそうでもない市町村との間に格差を生じさせる要因となってしまうのです。この格差を平準化する目的で採用されたのが「標準保険料率」です。


標準保険料率は、まず都道府県が市町村ごとに設定し、市町村はそれを参考に保険料率を決定します。従来個々の市町村が決定していたことを都道府県が介入することにより、適正かつ標準的な保険料率に近づける狙いがあります。


また都道府県が設定する標準保険料率は都道府県WEBサイトなどで一般公表されるため、地域ごとの住民負担を可視化できるメリットもあります。



私たちが支払う保険料は上がるのか下がるのか?

税制改正により平成30年4月から私たちが支払う国民健康保険料は上がるのでしょうか?それとも下がるのでしょうか?


平成30年3月3日現在、標準保険料率を公表している都道府県はまだ限られていますが、例えば東京都を見ると、23区と全市町村で保険料が増加する試算となっています。


例えば千代田区の場合、40歳独身で年収400万円だと平成29年度は年間302,400円が、平成30年度は年間319,300円と約5%の値上げとなります。また同じ条件で台東区を試算すると、平成29年度は年間320,800円が、平成30年度は412,600円、なんと約28%も上昇する試算結果となりました。


ただし標準保険料率は都道府県が設定した後、最終的には市町村が調整するため、前述の平成30年度の保険料は決定金額ではありません。しかしこの標準保険料率を見るかぎり今後も国民健康保険料率は増加傾向にあることは間違いなさそうです。



保険料以外で変更点はあるのか?

都道府県も国保の運営主体となるため、保険証や各種書類の様式が変更されることになりますが、今回の改正で加入者が行う手続きなどは原則ありません。保険証については、有効期限までは今のまま使用でき、更新の際に切り替えが行われることになります。