国保の計算方法

国民健康保険の基礎知識

保険料の計算をシミュレーションしてみましょう。

更新日:2021年05月10日

国民健康保険料の金額は各市区町村の担当窓口で正確に計算してくれますが、「およそいくらになるのか?」を知りたい方のために、ここでは基本的な計算方法について解説します。


【注意】保険料の計算方法は市区町村によって異なります。ここで計算した金額はあくまでも目安として参考にしてください。以下では代表的な例として、令和2年度の東京都世田谷区の国民健康保険料をシミュレーションしながら解説していきます。



その1. 所得金額を調べる。

所得金額とは、前年1月1日~12月31日のすべての収入から経費を差し引いた金額です。
個人事業主なら「総収入 - 仕入れ・経費」。
会社員やアルバイトなどの給与所得者は「総収入 - 給与所得控除額」となります。


調べ方は、個人事業主なら確定申告書の「所得金額の合計」を



サラリーマンなら源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」をチェックします。



給与所得者の所得金額は、こちらの簡易フォームでも確認できます。



その2. 基準額を計算する。

所得金額が分かったら、次に所得金額から43万円を差し引きます。※43万円は基礎控除というもので、すべての方に適用される所得控除となります。


所得金額 - 43万円 = 基準額となります。


ここでは分かりやすくするために、次のモデル家族でシミュレーションします。

世田谷区在住、3人家族で世帯全員が国保に加入。収入と基準額は以下の通り。


40歳 給与収入 4,000,000円
→ 所得金額 2,760,000円
→ 基準額 2,330,000円
39歳 給与収入 1,000,000円
→ 所得金額 450,000円
→ 基準額 20,000円
12歳 年収0円 所得金額0円 基準額0円
世帯の基準額の合計 2,350,000円


その3.所得割額を計算する

先ほど求めた基準額を、以下の①~④に当てはめて計算します。

所得割額は所得が一定以上ある方にだけかかります。基準額が0円以下になる場合は所得割はかかりませんので、次の「その4.均等割額を計算する」に進んでください。

計算式 シミュレーション
①医療分 基準額×7.13% 2,350,000円×7.13%=167,555円
②支援金分 基準額×2.41% 2,350,000円×2.41%=56,635円
③介護分 40~64歳の方の基準額×2.41% 2,330,000円×2.41%=56,153円
④合計 ①+②+③ 167,555円+56,635円+56,153円=280,343円

※基準額に乗じている割合は令和3年度の世田谷区の料率です。料率は市区町村によって異なります。


ここで得られた280,343円が「所得割額」です。

一旦この金額をメモしておきます。



その4.均等割額を計算する。

均等割額は、1世帯あたりの加入者数と、介護保険料の対象になる加入者数にかかる部分となります。以下の⑤~⑧を計算します。

計算式 シミュレーション
⑤医療分 加入者数×38,800円 3名×38,800円=116,400円
⑥支援金分 加入者数×13,200円 3名×13,200円=39,600円
⑦介護分 40~64歳の加入者数×17,000円 1名×17,000円=17,000円
⑧合計 ⑤+⑥+⑦ 116,400円+39,600円+17,000円=173,000円

ここで得られた173,000円を「均等割額」といいます。



その5. 最後に所得割+均等割

最後に所得割額と均等割額を合算すれば保険料の年額がでます。

計算式 シミュレーション
⑨合計 ④所得割額+⑧均等割額 280,343円+173,000円=453,343円

シミュレーション家族の年間保険料は453,343円となりました。世田谷区の場合は毎年7月~3月の9回に分けて納付することになります。※納付期間や回数についてはお住まいの自治体でご確認下さい。


但し保険料には上限があります。

保険料の計算方法をご覧いただいてお分かりのように、国民健康保険料は、「世帯所得」、「加入する人の数」、「40歳~64歳の人の数」によって決定します。つまり所得が多ければ多いほど、また加入者数が多ければ多いほど(40歳~64歳の人が多ければ尚更)保険料は高くなります。


但し、際限なく上がるわけではなく、国民健康保険料には上限額が設定されています。


以下は令和3年度の東京23区の上限金額です。

内容 上限金額
①+⑤ (医療分) 630,000円
②+⑥ (支援金分) 190,000円
③+⑦ (介護分) 170,000円
合計 (保険料年額) 990,000円

つまり東京23区の場合、国民健康保険料の年間上限金額は990,000円になります。



保険料は住む場所によってこんなに違う!?

上記のシミュレーションは東京都世田谷区に住んでいる場合ですが、保険料率は自治体によって異なります。また資産割(保有資産にかかる)や、平等割(世帯ごとにかかる)が加算される自治体もあります。参考までに、令和2年度の政令指定20都市の保険料を、上のモデル家族でシミュレーションしてみました。保険料の高い順に並んでいます。


1.神戸市 555,070円
2.札幌市 479,374円
3.熊本市 478,967円
4.堺市 475,988円
5.大阪市 470,610円
6.福岡市 463,700円
7.北九州市 461,240円
8.名古屋市 453,870円
9.岡山市 448,755円
10.京都市 439,454円
11.広島市 436,674円
12.浜松市 436,285円
13.仙台市 435,158円
14.新潟市 429,700円
15.川崎市 428,329円
16.横浜市 426,340円
17.静岡市 402,000円
18.さいたま市 396,600円
19.千葉市 394,830円
20.相模原市 361,700円

この中で一番高い都市(神戸市:555,070円)と、一番安い都市(相模原市:361,700円)の差は、193,370円でした。


保険料節約のテクニックでも解説していますが、引っ越しをお考えであれば、事前に保険料をシミュレーションしてみると、思わぬ節約ができるかもしれません。



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全国の自治体に対応した国民健康保険料の自動計算サイトをリリースしました。

1世帯当たり6名分まで試算できる仕様となっており、お住まいの都道府県と市区町村を選択後、加入する人の年齢、年収・所得、固定資産税を入力すると年間の保険料をシミュレーションします。是非ご利用ください。